欠伸 case 01  作・木庭美生

憧れてたからちょっとショックだった。

いつも退屈そうだね、って言われた。

否定はできないけど正直高校生男子なんてこんなもんだろ。と思う。

基本的に眠いし、退屈そうにも見える。

でも退屈そうな俺でもちょっと期待してた。

中学生の時から憧れてた。

なのに、開放されてないなんて思わなかった。

屋上。

高校の屋上は不良の溜まり場なんてとこもあれば、綺麗な夕焼けの中で告白だったり学校によって使われ方に違いはあれど開放はされてると思ってた。

危ないから開放されてないなんてショックしかない。

それなら漫画とかでもそうやって描いてほしい。

楽しみにしてて損した気分だ。

これからもこんなことがあるのかな。

漫画は好きだ、だから読む。

アニメも好きだからみる。

そしたら高校生だっていろんなことに憧れる。

そりゃ、超人的な力を手に入れるとか超能力がとかも憧れないわけじゃないけど現実的じゃないのは流石にわかるからそんなのとは別に。

屋上に似てるのでいけば体育館裏みたいなのもそうだ。

校舎裏だとか体育館裏だとか告白のシチュエーションなんかでは定番だ。ここも不良の溜まり場になるところもあるか。

この学校は体育館裏なんて汚いし場所も広くないし告白なんて誰もしようと思わないだろう。全然おもしろくない。

漫画は確かに夢を見られるけど、でも現実とのギャップにショックを受けてしまった。

漫画なんかでももっと現実を教えてくれればいいんだ、学校では教えてくれないことなんかを。絶対その方がいい。うん。

こんな馬鹿みたいなことを退屈そうな欠伸をしながら1人昼休みに考える。

大口開けて、眠そうに、きっと退屈そうに見えているんだろう欠伸。


2019年1月29日

木庭美生

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