アルティメット case02  作・草場あい子

最近。

僕の周りは、

僕が知らないことで

溢れかえっている。

僕はいつの間にか

僕の知らないことで

埋もれてしまう。

中学に入って、

数学を知った。

算数すら苦手だった僕にとって、

数学はもっと苦手で、

苦手というか意味不明で。

友達は公式覚えれば簡単とか

言うけど、

その公式の意味すら分からない。

だから、

物理とか、

未知の未知。

僕の知らないは

どんどん増える。

そして、もう1つ。

アルティメット。

友達が言った。

さっき。

昼休みに。

「アルティメットって面白いよね。」

って。

それで僕は思った。

アルティメットって、何。

なんかのゲーム?

だから言った。

「面白いよね。」

知ったかした。

知らないけど。

知らないことが恥ずかしかったから。

そしたら、友達は、

「じゃあ今度試合参加してよ。」

って言った。

僕は思った。

試合?

ゲームじゃないの?

アルティメットって、何。

それから僕の頭は

アルティメット1色。

5時間目の数学。

全く頭に入らない。

僕は多分、一生、

数学は分からない。

なぜなら、僕の頭は

アルティメットでいっぱいだから。

僕は思う。

数学が意味不明でも、

物理が未知の未知でも、

大丈夫って。

とりあえず、今は、

アルティメットが何なのかの方が大事だから。

だから僕は

僕の知らないことに

埋もれる。


2019年2月6日

草場あい子

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