ペット case03 作・草場あい子
大学生になった。
僕はペットショップでアルバイトをしている。
今年の春から。
だからまだ2ヶ月弱。
僕はたぶん動物アレルギーだ。
アルバイトを始めてから、
よくくしゃみが出る。
目がかゆい、あと、涙が出る。
しかも、バイト先に来る度にどんどん悪化していく。
僕は犬が好きだ。猫も。うさぎも。ハムスターも。
フサフサして、かわいい。
だから僕は小さい頃からペットを飼うことが夢だった。
でもうちでは飼わせてもらえなかった。
ほしいと言うたび母がダメだと言った。
だから今まで知らなかった。
自分が動物アレルギーということを。
アルバイトを始めて2ヶ月弱。
僕はとても幸せだった。
ずっと飼いたかった動物たちに囲まれて。
でも、僕は知ってしまった。
アレルギーの存在を。
でも僕は辞めない。
辞められない。
もう動物を一生飼えないと知ったから。
僕はその飼えないという悲しみを、
ここで消化しなければならないから。
僕は限界が来るまでここで働く。
でも、たぶん、いや、確実に、
僕は明日このアルバイトを辞める。
身の危険を感じて。
2019年5月29日
草場あい子
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