2018.12.21 13:50レンタルビデオ case 05 作・堀愛子外はしばらく雨が降っていた。湿った空気が似合わないLEDに照らされた店内はあちらこちらで同じ映画の宣伝映像がリピートされている。窮屈だと思って帰ってきた。昨日、実家に。荷物もろくに持たずに新幹線に乗った。肩まで伸びた茶色の髪の毛は、雨に濡れて三年前にかけたパーマが残っていたことを証明する。深い青色を塗った爪に雨がはじいてキラキラ光る。実家の近くのレンタルビデオ屋は、中学の時の私の「いきつけ」だった...
2018.12.20 14:55レンタルビデオ case 04 作・渡邉大水曜日のお昼頃。バイトが休みなのでレンタルビデオショップで映画コーナーをみていた。僕は、映画をそれなりに観る。といっても僕は、あまり頭がいい訳ではなく、読み取る力がそこまでない。でも、僕は映画が好きだからよく借りにくる。そして今は、僕の手元には同じ監督のビデオが3つある。僕が大好きな映画。1つは、小学生の頃に家族と観に行ってとても好きになった。夢があって、キラキラしてて、登場人物の全員を好きになっ...
2018.12.19 10:35レンタルビデオ case 03 作・草場あい子近所にレンタルビデオ店が出来た。この前まで小さなラーメン屋だったのに。いつの間にかレンタルビデオ店になって驚きだった。そして今、私の世界はパニックだ。私の世界は平凡だった。特に何も無い。だから何となく。暇つぶしで1話借りた。恋愛ドラマ。けど、いつの間にかハマっていた。平凡だった世界で楽しみになっていた。昨日、そのドラマが完結した。最終話。バッドエンドで終わった。予想外だった。予想外すぎて、昨日はよ...
2018.12.18 13:30レンタルビデオ case 02 作・木庭美生狭いアパートに一人暮らしをしている。男の一人暮らしだからと言い訳をして手を抜いた部屋の片付け。いろんなものが散らかっている。別にゴミ屋敷ってわけじゃない。少し前にブルーレイレコーダー?を買った。中古で。DVDが見れるらしい。ブルーレイが何なのかよくわからないけど綺麗に見れるんじゃないかな、たぶん。それがずいぶん安くなっていたので買ってしまった。アルバイト生活の僕にはちょっと痛い出費ではあったけど一...
2018.12.17 14:55レンタルビデオ case 01 作・橋谷一滴父は、鴨の浮かぶ湖の端で「鴨南蛮蕎麦食べたい」と言った。仕事の関係で父はあまり家に居ないのでむしろいるとレア感が出ている。だからなのか月に1回くらいの頻度で再会すると変な人だなあと思う。新鮮なのだ。そもそも40代後半のおじさんが息子に仕事を聞かれて「冒険してるんだよ。世界中をね。」と真面目に答えているのを見るとなんだか悩みとか色々がすごくバカバカしく思えてくる。しかし父は決して冗談を言っている訳で...