2019.01.18 14:05ワンピース case 04 作・堀愛子夏、背の小さいワンピース姿の女性を見ると今でも彼女のことを思い出す。いやでも連想させてしまう、彼女はたぶん僕の中に10年経った今でも、ふとしたところで現れて、しがみついて、取れない。授業中、ノートも取らずに寝てばっかりの男の子とはしゃぐ彼女に嫉妬していた。むしゃくしゃする気持ちを夏さの暑さのせいにして。視力の悪い彼女が目を細めて黒板を見るたびに僕は必死でノートをとった。席も離れてる、後で見せるわけ...
2019.01.16 14:55ワンピース case 03 作・草場あい子白いワンピースが、夕日に照らされてオレンジ色に染まっている。彼女は白線の上を歩きながら、「全てが自分の思い通りになったら、どんな感じなのかな。」って、言った。彼女の好きだった人に好きな人ができた。私は何も言えなかった。彼女はずっと下を向いて白線の上を歩いた。でも、彼女は立ち止まって私の方を向くと、「でも、なんでも思い通りになったら、全然面白くないね。」と、言って。彼女の瞳はキラキラと光っていた。そ...
2019.01.15 14:55ワンピース case 02 作・木庭美生もうすぐ2時間経っちゃうよ。やっぱり僕、気持ち悪かったかな。なんか、ほんとごめんなさい。調子のってました。僕は彼女が好きだ。もちろん恋愛的な意味で好き。なにがあったわけでもないし、特別なきっかけとかも特にないけど教室の隅でいつも楽しそうにおしゃべりしてる君が好き。だから、死にたくなるほど噛みながら君に連絡先を交換してもらえないかお願いしたんだ。君はあっさりOKしてくれて僕はやっぱり死ぬかと思った。...
2019.01.14 14:55ワンピース case 01 作・橋谷一滴あ、今彼女のワンピースがついに海に浸る脱ぎ捨てた靴は砂浜にころがって浸る予定のないワンピースが海の中へと入ってしまう。僕の声は波の音でかき消されてすんなりと浸ってしまうんだろうか。多分あのワンピースは裾下ろしたてのもので膝くらいのところでうっすらラインが入っている。彼女の伸びた身長分下下ろされた裾はだんだんと海に浸ってそしてついにラインが消えた彼女の足が見えない。ワンピースのラインは海と彼女の境目...