スーパーマーケット case 03 作・草場あい子
土曜日だ。
スーパーマーケット行かなきゃ。
近くに何もない。あるのは山と川だけ。
スーパーマーケットまで徒歩1時間半。
だから私は同じ時間にいつもの場所で待っている。
彼はいつも同じ時間に迎えに来てくれる。
乗ると必ず声を掛けてくれる。
降りる時も笑顔で声を掛けてくれる。
そんな彼。
私は彼のことを知らない。
彼も私のことを知らない。
でも、必ずいつもの場所に来てくれる彼。
スーパーマーケットまでの30分間。
話すことはない。
でも、この空間が嫌だと思ったことはない。
いつもの時間にスーパーマーケットに着く。
買い物時間は1時間。1週間分の買い物をする。
買い物が終わると彼はまた迎えに来てくれる。
そしてまた声を掛けてくれる。
「ご乗車ありがとうございます。」
2018年10月24日
草場 あい子
0コメント