person 24 作・橋谷一滴
中学校の時、一時期何もしてない時期があった。
昔よく聞いていたCD
再生すると何もしてなかった頃の自分の
大事にしてたものが浮き彫りになった。
住んでた団地の階段
最寄駅の匂い
そこまでの商店街の道
歩いていた
歩いていたことを思い出す。
住んでいた街のことが嫌いだった。
何にもしていない自分以上の
何にもなさが
あの街には立ち込めていて、
余計に何にもできなくなる
そんなことを電車の中で考えていた。
今歩くこの街にはあの頃よりもずっといっぱい色んなものがあって
今歩くこの街はあの頃と何も変わっていない
何もしていなかった自分が
ほんとは
色々していたことを
この街と
昔よく聞いていたCDで思い知らされ
少し好きになったこの街に
もう来ることはない気がしながら
いつも通り商店街を歩く
いつか歩いていた
このみちを僕は今歩いている
2018年11月23日
橋谷一滴
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