駐輪場 case 01 作・草場あい子
その自転車は
いつも決まった場所に停めてある。
私の隣の隣。
フレームのところに
変なステッカーが貼ってある。
それを見てから電車に乗る。
7時45分、
私の日常。
けど、
7時45分。
隣の隣。
その自転車はなかった。
あの変なステッカーが貼ってある。
どこを見ても。
それを見ずに電車に乗る。
違和感。
朝起きてカーテン開けないぐらいに、
階段左足から登ったみたいに、
違和感。
その自転車の持ち主のこと、
全く知らないけれど、
その人の自転車のことは知っている。
その人の自転車は
私の日常になっている。
7時45分。
私の隣の隣。
フレームのところに
変なステッカーが貼ってある自転車。
私の日常。
2019年1月23日
草場あい子
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