駐輪場 case 02  作・木庭美生

自転車のサドルがブロッコリー。

よく耳にするけど、実際に見たことはない。

サドルを盗んでブロッコリーをかわりに残すだなんてどんな気持ちなんだろう。

やる側もやられる側も。

ここの駐輪場は盗難とかでちょっと地元では有名だって聞いたのになかなかなにも起こらない。

普通に生きてたらそんなに事件に会うことなんてないと思う。

それで自分の毎日が退屈だなんて言う。

非日常を期待する。

そう思うのは絶対僕だけじゃないはずだ。

面白いこと起きないかなっていつも思う。

自分で何かすればいいのにとも思うけど、自分で自分の世界に非日常をつくるのは意外と難しい。自分で退屈じゃなく面白くするってなにをするのがいいんだろう。

いつもと違うことして遊ぶのはなんだか違うような気がする。そんなのじゃない。非日常。

わがままかな、わがままっていうか贅沢っていうか。求めすぎか。

自転車のサドルがブロッコリーじゃなくてもいい。でもそんな驚きみたいなのがやってみたい。誰かが僕の日常に入ってくるのを待ってる。

僕は、どんな気持ちになるんだろう。


2019年1月24日

木庭美生

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