person 62 作・草場あい子
雨。本。公園。屋根。
朝から雨が降っている。
どんよりとした暗い空。
湿った空気。
雨の匂い。
僕は雨が好き。
好きというか、
屋根に当たる雨の音も、
傘に当たる雨の音も、
雨が水たまりに落ちる音も、
靴が雨に濡れてなるキュって音も、
髪の肌触りが変わるのも、
目を閉じると、
人の声も音も雨にかき消されて、
僕1人だけの空間になる感じも、
目を開けると、
聞こえなかった人の声も音も、
踏切のカンカンカンって音も、全てが耳に飛び込んでくる感じも、
全部、嫌いではない。
だから、雨の日は出かけたくなる。
子供の頃新しい長靴が履けるのが嬉しくて、
雨の日にわざわざ外に遊び行く時みたいに、
僕はわくわくする。
だから僕は公園で本を読む。
雨の日を存分に味わうために。
2019年4月24日
草場あい子
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