2018.11.02 02:10たばこ case05 作・堀愛子AM 08:52 アラームの音で目が覚める。あたしはドキドキしている。中学の時、そばかすの村上はあたしのことを好きだったらしい。昨日の夜、中学時代の同窓会に出席した。成人式を終えて大人になったあたしたちは、お酒も飲めるしたばこも吸える。同窓会なんて憧れていたけれど、いざその時になればこういうものなのだと思う。変わっていくみんなの生活や性格。きっとまた会えたら同じように笑っているのだろう。思ったより...
2018.11.01 14:42たばこ case04 作・渡邉大古くからの友人のアイツと喧嘩した。もう少しで40にもななるのに少し情けなく思う。でもイライラはまだ残っていて俺はタバコ取り出す。俺は昔からタバコを吸っていた。あの、赤と白のデザインの「タバコ」と書いてある看板を思い出す。俺は、学生の頃いわゆる不良だった。授業はサボり、単車に乗り、コンビニの前で駄弁る、そんなテンプレートな不良だった。たばこはその時から吸っていた。イライラすることがあれば学校の屋上で...
2018.10.31 00:30たばこ case 03 作・草場あい子換気扇の音。たばこの匂い。君はいつもキッチンに行き、換気扇を回して、たばこに火をつける。朝起きてすぐ。ご飯を食べた後。スマホを見ながら。気づくと君はたばこを吸っていた。たばこってそんなに美味しいの。君は答えた。「美味しくないよ」じゃーなんでそんなに吸うの。「んー、癖かな」変なの。「確かに」君ははにかみながらたばこの灰を皿に落とす。君にはこだわりがある。たばこの箱はボックスじゃなくてソフト。ポケット...
2018.10.30 11:25たばこ case 02 作・木庭美生どうしよう。ほんとにどうしよう。怒られるかな。えぇ。やだな。やっぱりやめとけばよかったかな…ぼくの趣味はガラクタ集めでいつかこのガラクタでロボットなんかを作ってやろうと思ってる。だから普段からいろんな部品になるガラクタを拾ってるけど今日のは少し違くて、ちょっとの後悔。学校からの帰り道の途中、見つけてしまったから拾ってしまった。赤い箱。なんて読むのかわからない。ま、まる?少し空いてるMarl bor...
2018.10.29 12:42たばこ case01 作・橋谷一滴あ、たばこ。あ。これは確か、確かというか竹内の。竹内のたばこだ。今日は1日休みで、久しぶりに掃除をしていたらこんな時間で。17時にメールが入っていた。「あきちゃん。最終バスで東京戻るよ」竹内からではなかった。竹内は私の親友だ。ずっとちょっと変だった。毎日割れた眼鏡をかけていて、吸わないたばこをズボンの右ポケットに入れていた。そのたばこが今私の手にある。たばこの封を開けた。私は竹内のことが好きだった...