2019.01.11 13:40スニーカー case 03 作・堀愛子しまった、と思った。昨日雨が降ったせいで濡れたままの新しいスニーカーを持ったまま、玄関に立ち尽くしている私。夜のうちに新聞紙を詰めとけばこんなことにはならなかったのに、とか夜のうのうとプリンを食べていた私を恨んでいた。そんな暇はない、もう8:23だ、早くしろ、遅刻だ。急いで靴箱を漁るが、数少ない私の靴たちがボトボト落ちてきて、雑に押し込む。一番適当であろうスニーカーを出して履く。昔中学の頃履きまく...
2019.01.09 14:25スニーカー case 02 作・橋谷一滴スニーカーで地下鉄の中を歩く。揺れている地下鉄の中をスニーカーで歩いている。同級生に会ったりしないか心配だが会うわけないかなんて地下鉄だから外真っ暗だななんてお腹すいたなんて新しいスニーカーが擦れる音で人の少ない地下鉄の中がいっぱいになって僕の頭もいろんな思いでいっぱいになって揺れる地下鉄は揺れたままどんどんどんどん僕の学校から遠ざかっていく僕の学校え?僕のものではないな。新しいスニーカーが擦れる...
2019.01.09 13:28スニーカー case 01 作・草場あい子薄暗い照明の古本屋。静かで歩く度にスニーカーのキュって音が響く。古本と雨の匂い。休日。雨。することがなく、なんとなく家を出て、たまたま見つけた古本屋。ドアを開けると、店内の古本の匂いと外の雨の匂いが交じる。お客さんは僕1人。ドアが閉まると、そこは静かで僕のスニーカーの音と誰かがめくる本のページの音だけが響く。その音は、聞いていると心地がよかった。大きな棚にぎっしりと詰まった本は、初めて見るものばか...