person 43  作・草場あい子

20代。男。駅のホーム。ベンチ。

僕は僕が嫌いだ。

僕はヒーローになりたかった。

子供の頃。

悪い人を倒して、

弱い人を守れるヒーロー。

正義のヒーローに。

でも、僕はヒーローになれなかった。

僕は強くなかったから。

けど、それ認めるのが嫌で、

強くないって思われるのが嫌で、

自分を大きく見せていた。

けど、そんなことしてる自分を僕はどんどん嫌いになっていった。

いつか聞いた「どんな自分でも受け入れる。それが自分なんだから。」

そんなの当たり前だって思ったけど、僕は、その当たり前ができていなかった。

僕は弱い。

そんなの知ってる。

だから、自分を大きく見せなくてもいい。

守る方じゃなくて、守られる方でいい。

それが自分だから。

それに、ここには悪役はいない。

だから僕は弱くていいんだ。

僕は今日、僕を少し好きになった。


2018年12月20日

草場あい子

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