スニーカー case 02 作・橋谷一滴
スニーカーで地下鉄の中を
歩く。
揺れている地下鉄の中を
スニーカーで歩いている。
同級生に会ったりしないか心配だが
会うわけないか
なんて
地下鉄だから外真っ暗だな
なんて
お腹すいた
なんて
新しいスニーカーが擦れる音で
人の少ない地下鉄の中がいっぱいになって
僕の頭もいろんな思いでいっぱいになって
揺れる地下鉄は
揺れたまま
どんどんどんどん
僕の学校から遠ざかっていく
僕の
学校
え?
僕のものではないな。
新しいスニーカーが擦れる音で
僕の何かもすり減っている気がする
昼の日差しが地下鉄の中に
入ってきた
地下鉄は地下だから地下鉄なんじゃないのか
もうすぐ止まるこのみちは
もうすぐ地下鉄から西鉄に変わって
僕を
どんどんどんどん
学校から遠ざけていく
いつもの電車の反対側には
ちゃんと日差しが入るんだな。
すり減ったスニーカーが
入った日差しで
照らされている。
2019年1月9日 橋谷一滴
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