ワンピース case 03 作・草場あい子
白いワンピースが、
夕日に照らされてオレンジ色に染まっている。
彼女は白線の上を歩きながら、
「全てが自分の思い通りになったら、どんな感じなのかな。」
って、言った。
彼女の好きだった人に好きな人ができた。
私は何も言えなかった。
彼女はずっと下を向いて白線の上を歩いた。
でも、彼女は立ち止まって私の方を向くと、
「でも、なんでも思い通りになったら、全然面白くないね。」
と、言って。
彼女の瞳はキラキラと光っていた。
そんな彼女をとても綺麗だと思った。
彼女は前を向くと、また歩き出した。
けど、彼女はもう白線の上は歩いていない。
オレンジ色に染まったワンピースが風に揺れる。
彼女の姿はやっぱり綺麗だった。
私は彼女に、
「そうだね。」
と、言った。
私は彼女がこんなにも綺麗だったことも、
白いワンピースがオレンジ色に染まることも、
知らなかったから。
彼女は、
「うん。」
と、言って笑った。
2019年1月16日
草場あい子
0コメント