2018.11.30 14:55person 29 作・橋谷一滴ゲームの実況動画を見ているかれこれ2時間私は特にゲームが好きなわけではないしこのゲームが何のゲームなのかもよくわからないが洞窟物語というフリーゲームの実況をかれこれ2時間眺めている流石に長く見過ぎな気がしてならないが特にやめようとは此の期に及んでも尚思っていない昨日、大学が決まった。卒業まであと半年毎日おんなじ電車に乗って毎日おんなじ友達とお昼を食べるたったそれだけの条件が揃わなくなるそう思ったら...
2018.11.30 14:10コインランドリー case 05 作・堀愛子「え、なんでいんの?」勢いよく回る洗濯機の音でかき消された声。それはこっちのセリフだ。夜の11時。隅っこのコインランドリー。兄がいた。黒いウィンドブレーカーにジーパン。兄は一年前、いきなり髪の毛を緑色に染めた。グレたんじゃない。染めただけ。日曜日の朝にカステラのジャリジャリの部分を紙からこそぎ取っているあたしに「俺、ちょっと人と違うことしたい」って言ってきた。その次の日、彼の頭は緑になっていた。何...
2018.11.29 14:10コインランドリー case 04 作・渡邉大今日は雨が降っている。せっかくの土曜日で仕事もないのに。休日ぐらい快晴で気分良く居たいのになぁ。部屋干しは和樹さんが好きじゃないから洗濯物も干せないしコインランドリーに来た。一週間分あるから洗濯物の量もなかなかのものになってる。全部入れたらスイッチを押す。ぐるぐると回り始めた。しばらくかかるかな。私の他には誰もいない。最近は私みたいな兼業主婦のお客さんとか増えたってどっかで聞いたんだけどなあ。一人...
2018.11.29 10:50person 28 作・草場あい子新山沙知。20歳。大学生。そういえば。高校卒業して2年。あっという間だったな。卒業して上京した。だから高校の子とは全然会ってない。会おうって言ってたけど。慣れるか不安だったここも意味不明な路線もいつの間にか慣れてるし、読めてる。そういうもんかって思うけど。なんか寂しい。今の思い出で上書き保存して前の思い出が頭の片隅からも消える感じがするから。私だけかな。たまに今この瞬間もいつかは思い出になって頭の...
2018.11.28 14:29person 27 作・木庭美生占部颯太。15歳。男。事実は小説よりも奇なり。誰か知らない誰かの言葉。いつ誰が言ったのか全然知らない。でもとりあえず、この言葉を最初に言った人はもっと現実を見るべきだと思う。だってどう考えても現実よりも小説の方が不思議なことが起きる。現実なんてつまらない。親はすぐに怒るし、友達との人間関係だってめんどくさい。小説だったらすぐに殺人事件が起きたり、魔法が使えたり、超能力があったり。小説の方がずっと不...
2018.11.28 08:40コインランドリー case 03 作・草場あい子私のお父さん。お父さんはせっかちだ。エレベーターの閉まるのボタン連打するし、カップ麺食べる時3分待てないし。私がテレビ見てたら、そんな暇あったら勉強しろって言う。お父さんはよく生きられる時間は生まれた時から決まってるって言う。だからゆっくりしてる暇はないって。でも私はゆっくりテレビ見たいし、ソファに寝っ転がって雑誌隅々まで読みたい。お父さんは生き急いでる。きっと本人は気づいてない。そんな生き方楽し...
2018.11.27 14:50person 26 作・渡邉大・見かけた人学生・見かけた場所ひとけの無い公園・時間帯夜9:30頃_____________________○名前古屋 悠斗○年齢16歳○好きな事夜の散歩○嫌いな事注目を浴びること_____________________イライラする。数学の西崎に怒られた。少し外見てただけだろ。外なんて誰でも見るじゃねえか。大体よそ見なんてそんな騒ぐことじゃねえだろ。そんで、端の席の中村は何が面白いのか笑ってやが...
2018.11.27 14:50コインランドリー case 02 作・木庭美生家の近くにはコインランドリーがある。わたしの家の近くにはコインランドリーがある。コインランドリーはすごくいい匂いがする。わたしの好きな匂い。わたしはまだ大きいわけじゃないけど、今よりもっと小さい時からこの匂いがすごく好きだった。おひさまみたいな匂いがする。おひさまの匂いはしあわせな気持ちになれる。でも、ちょっと前にわたしのしあわせは壊された。近所のお姉ちゃんによって。お姉ちゃんはたばこを吸う。たば...
2018.11.26 12:35コインランドリー case01 作・橋谷一滴さっきから携帯が鳴っている鳴っているのはわかっているけど私は携帯を開かない誰からの連絡か分かっているからだたぶん。電車に乗りたいなあどこか遠くに行きたい気がする誰も私を知らないような場所で美味しい定食を食べて海に足をつけたいぐるぐるぐるぐる回っている洗濯機を眺めていると私の思いもぐるぐるぐるぐる回り始めて携帯が鳴っていることなんか気にならなくなったりしないかと思っている少し前の話。好きなお皿が割れ...
2018.11.26 10:45person 25 作・堀愛子日曜日の夕方に高架下で見つけた男の子のはなし。ーーーーーーーーーーーー松島あらし(まつしまあらし)11歳。タケちゃんはおれの持ってないものをいつも持っている。スケボとかiPod、髪の長い母ちゃん。朝からおれは母ちゃんにゲーム機を取り上げられた。くそ、ぶっと飛ばす、って言って外に出たらタケちゃんがスケボで遊んでた。朝ごはんのスクランブルエッグのケチャップが口元についてるおれをタケちゃんはげらげら笑っ...
2018.11.23 14:50person 24 作・橋谷一滴中学校の時、一時期何もしてない時期があった。昔よく聞いていたCD 再生すると何もしてなかった頃の自分の大事にしてたものが浮き彫りになった。住んでた団地の階段最寄駅の匂いそこまでの商店街の道歩いていた歩いていたことを思い出す。住んでいた街のことが嫌いだった。何にもしていない自分以上の何にもなさがあの街には立ち込めていて、余計に何にもできなくなるそんなことを電車の中で考えていた。今歩くこの街にはあの...
2018.11.23 14:50くつ下 case 05 作・堀愛子吉田君は黒縁のめがねかけてて、こめかみの髪の毛を少し耳にかけている。たしか図書委員をしてて、部活は野球部。隣のクラス。あたしの中学校は全クラスで60人ぐらいで結構小規模な学校だから、吉田君のこともすぐに見つけられる。一回だけ話したことあるけど、ほんと友達挟んでの会話だし話したうちには入らないかもしれない。吉田君は人より話す声が小さい。低い声。誰かと喋ってるの見てたら、少し髪の毛クシャってするときあ...