貯金箱 case 01 作・木庭美生

今日は私の誕生日。

平日だから普通に学校に行く。

学校に行くと休みの日よりもずっと祝ってもらえる。人数いるし。

なんかこんなこと考えるのもやな感じではあるけどおめでとうって言われるたびにこれが私が今築いてる人望かってちょっと思ってしまう。築いてる人望ってなんだ。

高校生になればまあグループはあるもので私もグループに所属している。そんなしっかり所属しているとかいうものでもないけど。わりと騒がしいグループ。

だからグループのみんな祝ってくれる。私の誕生日を。

今の状況はそんなに祝われてる気がしないけど。

ほんとに。頭悪いよね。

4人で合わせて貯金箱がプレゼントとか意味わかんないもん。

なんで私の机の上に貯金箱4つも並んでるんだろ。

わざわざ違う種類のやつ。

びっくりして変な笑い出ちゃった。

4人ともちょっとドヤ顔なのがもうなんか、腹立つっていうか腹は立たないけどもう、なんか、もう、いや、いいわ。うん。

微妙な顔してありがとうとか言ってごめんね。

ありがとう、気持ちは嬉しいけどやっぱこれはどうかと思う。

4人揃ってにこにこしよって、そんなに楽しいか。

30万円貯まる貯金箱、50万円貯まる貯金箱、100万円貯まる貯金箱、お賽銭箱型貯金箱。

いくら貯めればいいんだろうね私。

とりあえず帰ったら部屋に飾ろう。

複雑な気分はだけどやっぱり祝ってもらえたら嬉しいから、変にふざけてもけっきょく楽しいで終わる。それもたぶん今だけだし、こんだけ貯金箱貰うのも今日だけだろうから今日を楽しむよ。ありがとう。

貯金箱ある程度重くなったらみんなで遊びに行こう。

奢ったりは絶対しないけど。


2019年6月11日

木庭美生

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