2018.10.31 14:20person 08 作・木庭美生午後7時40分ごろ。女。31歳。最悪。やっぱり目立つな。鏡を見てため息。潰してしまおうか、跡になるかな。額で存在を主張してくるヤツ。ニキビに悩まされている。仕事終わりに某ハンバーガーショップ。もう一度ため息、いや、ゆっくり息を吐き座り直す。左手でコーヒーを持って右手には揚げられたポテト。やっぱダメね。高い化粧水使っても、いい洗顔料で洗顔しても、できるときはできるわ。コーヒーをトレーに置くと思ったよ...
2018.10.31 00:30たばこ case 03 作・草場あい子換気扇の音。たばこの匂い。君はいつもキッチンに行き、換気扇を回して、たばこに火をつける。朝起きてすぐ。ご飯を食べた後。スマホを見ながら。気づくと君はたばこを吸っていた。たばこってそんなに美味しいの。君は答えた。「美味しくないよ」じゃーなんでそんなに吸うの。「んー、癖かな」変なの。「確かに」君ははにかみながらたばこの灰を皿に落とす。君にはこだわりがある。たばこの箱はボックスじゃなくてソフト。ポケット...
2018.10.30 14:51person 07 作・渡邉大・見かけた人20歳近くの男性・見かけた場所ゲームセンターに置いてある椅子・時間帯夜7:00頃_________________○名前山崎 太一○年齢18○好きなこと漫画を読む○よく考えること先生に目を付けられたくない_________________ああ、暇だ。ゲーセンに連れて来られても何すればいいのか分かんないし、連れてきたくせにアイツ一人でどっかのゲームしに行っちゃったし、暇でしょうがない。大...
2018.10.30 11:25たばこ case 02 作・木庭美生どうしよう。ほんとにどうしよう。怒られるかな。えぇ。やだな。やっぱりやめとけばよかったかな…ぼくの趣味はガラクタ集めでいつかこのガラクタでロボットなんかを作ってやろうと思ってる。だから普段からいろんな部品になるガラクタを拾ってるけど今日のは少し違くて、ちょっとの後悔。学校からの帰り道の途中、見つけてしまったから拾ってしまった。赤い箱。なんて読むのかわからない。ま、まる?少し空いてるMarl bor...
2018.10.29 12:42たばこ case01 作・橋谷一滴あ、たばこ。あ。これは確か、確かというか竹内の。竹内のたばこだ。今日は1日休みで、久しぶりに掃除をしていたらこんな時間で。17時にメールが入っていた。「あきちゃん。最終バスで東京戻るよ」竹内からではなかった。竹内は私の親友だ。ずっとちょっと変だった。毎日割れた眼鏡をかけていて、吸わないたばこをズボンの右ポケットに入れていた。そのたばこが今私の手にある。たばこの封を開けた。私は竹内のことが好きだった...
2018.10.29 12:31person 06 作・堀愛子病院前の踏切で待つスーツ姿の男性を見ました。土曜日の朝。ーーーーーーーーーーーー染谷康介(そめやこうすけ)32歳。朝の風が気持ち良く感じたのは久しぶり。電車が目の前を通る。踏切を待つのでさえ小さな苛立ちを感じていた昨日までが嘘みたいに、今日は本当に穏やか。昨日の夜、嫁の霧子が倒れた。本当に突然のことだった。救急車なんて初めて乗ったし、霧子の顔が見れなかった。母親の認知症が酷くなり、霧子とは会話する...
2018.10.26 13:25person 05 作・橋谷一滴朝9時セブンイレブン前右手にブラックのアイスコーヒー、左手にタバコ。買い物袋には大きめのカップ焼きそば。ラフな格好。顎髭32歳男。たいして好きでもない芸能人が覚醒剤で捕まった。でもなぜか彼がやったならしょうがないと思った。それと同時に彼がやったのなら自分もやるんじゃないかと怖くなる。でも僕には彼女がいるし、彼女がいるからなんだとも思うけどここでちょうど彼女から電話がかかって来て意識が戻ったので大丈...
2018.10.26 06:21スーパーマーケット case 05 作・堀愛子ぼくは見てしまった。腰まで伸ばした長い髪の白い細い彼女のこと。左斜め一直線、窓際の一番前の席。伊藤さんは美人だと思う。彼女のことを初めて見た時、美人とはこの人のことを言うのだと確信した。ぼくが伊藤さんと会話をしたのはたった一回。黒板を見ると自然と視界に入ってくる彼女の後ろ姿はいつもピシッと伸びていて、たまに髪の毛を耳にかける仕草はぼくの授業の妨げになっている。伊藤さんは美人だ。それはぼくだけが知っ...
2018.10.25 14:56スーパーマーケット case 04 作・渡邉大〇スーパーに行くと駐車場が埋まっていた。店員さんは生き生きとしていた。僕の好きなお菓子は売り切れていた。〇つぎに行ったときは駐車場は開いていた。店員さんは相変わらず元気だった。僕の好きなお菓子は今日はあった。買った。〇つぎに行ったときは黒い車が多かった。店員さんは違う人だった。僕の好きなお菓子は今日もちゃんとあった。よかった。〇つぎに行ったときは駐輪場の自転車が一つ倒れていた。なんとなく気になった...
2018.10.25 14:51person 04 作・草場あい子授業中何気なく外を見たら発見した男の子について。三丸 翔平。17歳。高校2年生。5限目。体育。暑い。日差しが。今秋じゃないの。朝肌寒かったのに。だから長袖にしたのに。めちゃくちゃ暑い。しかもみんな半袖だし。半袖持ってくればよかった。あー。暑。てか、これなに。準備体操なのは分かるけど。これなに。どこの筋伸ばしてんの。分からん。みんな無言でやってる。てかみんな揃ってる。なんか。...暑い!気そらそうと...
2018.10.24 04:03person 03 作・木庭美生澪奈です。高木澪奈。17歳。2番のりばの8:00の電車で登校します。いつもと同じ電車で、だいたい3駅進んだくらいで人がかなり増えます。みんな下を向いて携帯を見るか耳にイヤホンをつけて音楽を聴いたりしてます。もうそれが当たり前のようになっていて、でも私はそれに抗いたくて。1人だけ本を見つめる。利き手で片手に本を持ち、もう片方の手でページをめくる。周りの人から見える私を想像しながら本の中身なんてどうで...
2018.10.24 00:30スーパーマーケット case 03 作・草場あい子土曜日だ。スーパーマーケット行かなきゃ。近くに何もない。あるのは山と川だけ。スーパーマーケットまで徒歩1時間半。だから私は同じ時間にいつもの場所で待っている。彼はいつも同じ時間に迎えに来てくれる。乗ると必ず声を掛けてくれる。降りる時も笑顔で声を掛けてくれる。そんな彼。私は彼のことを知らない。彼も私のことを知らない。でも、必ずいつもの場所に来てくれる彼。スーパーマーケットまでの30分間。話すことはな...