2019.01.08 14:1825mプール case 04 作・橋谷一滴あ、ラスク食べたい。サクサクのラスクが今なら2袋くらいは食べられそうだサクサクのラスクだなんてなんか韻踏んでないか韻踏んでるんじゃないのかあ、後ろの男の子が何か言っているラスクも持っていないくせにわたしに命令するなんてなんて魅力のない男の子わたしはプールに飛び込んだりしない絶対耳とか鼻とかが痛くなったりするじゃないか何よりわたしは今プールの気分じゃないプールに気分とか関係ないとか言う人がいるがわた...
2018.12.28 14:5525mプール case 03 作・堀愛子「真冬にプールなんてまともじゃないね。」まともってそもそもなんだろ。彼女は真っ赤になった鼻をすすりながら、静かに笑っていた。僕たちは29歳になっていた。僕のトラウマのような彼女を、こうやって母校のプールに連れてきた僕も僕だ。どうかと思う。その日は初雪が降る日で、分かっていながら彼女の連絡先を開いた。「ご無沙汰してます。清水」それだけを送ったら、案の定、彼女から大量の文章が返ってきた。メールをするの...
2018.12.26 14:0925mプール case 02 作・草場あい子僕が通ってた小学校に25mプールがあった。その頃の僕にとって、それは何よりも大きくて、怖かった。青い世界で水の流れる鈍い音が響く。それは僕を飲み込み、このまま僕をもとの世界へ戻してくれないような気がした。もがいても抜け出すことが出来ない世界。そんな存在。けど、今はその世界が好きだ。あの頃怖いと思っていたあの世界が。あの鈍い音が。手を仰ぐ度に肌に触れる水の振動が。1人の世界が。もとの世界の騒がしい音...
2018.12.25 14:5025mプール case 01 作・木庭美生「ねえ、絶対おもしろいよ、明日やってみよ‼︎」彼女はきっと、たぶん、頭が悪い。なんというかとてもシンプルにバカだと言える人だと思う。彼女と僕は、今、夜の学校に侵入している。侵入したと言うかずっといた。学校が終わってからこの時間になるまでずっと。よく先生たちにばれなかったなと思う、もっと校内の見回りとかしっかりするべきだろう。学校のプール。彼女は足を入れてバシャバシャ遊ぶわけではない。意外にも手の先...