2019.05.24 07:00person 74 作・堀愛子17:22日差しが入り込む車両ひたすら流れる同じような景色と床にできる影この時間に電車に乗ることがないから知らなかったけれど、帰宅ラッシュとかいうのだと思われる手にスマホの影ができ画面の明るさを下げても、自動で明るさを調節してくれているらしく何度も日光が当たるたびに上がってくるドアが開く外側の雑音が一気に入り込む乗り込んでくる数人の人達席を立ち上がって降りていく人達知らない街で知らない人たちが行き...
2019.05.23 13:00person 73 作・渡邉大・見かけた人本屋の袋を持った男性・見かけた場所線路沿いの道路・時間帯21時20分頃________________________○名前飯野 史敏○年齢25歳○趣味読書_________________________色々買っちゃった。まあ、今日頑張ったから良しってことで。にしても今日はきつかったなぁ。入荷した本、色々あったし。筋力あれば、あの凄まじい肉体労働でも平気なのかな。あ、でも平田さん結構...
2019.05.22 10:00person 72 作・草場あい子高校生。駅のホーム。もうすぐ電車が来る。なのに僕はイヤホンを忘れた。いつも肌身離さず、スマホとセットで持っているのに。イヤホンを忘れた。今日は急いでいた。不意打ちの遅延で。いつもより早い電車に乗るために慌てて家を出た。スマホは持った。確実に。今僕の手の中にある。だけどイヤホンがない。音楽を聞けない。電車がホームに着く。案の定満員だ。だからよりイヤホンがいる。なのにない。最悪だ。僕はいつもコンタクト...
2019.05.21 13:00person 71 作・木庭美生井上輝。30歳。男。家の風呂が壊れた。自動で湯を張る風呂が湯を張らなくなった。シャワーで済ませればいいだけだから頭から洗った。 めんどくさいし、シャンプーでそのまま全身洗いたくもなるけどそういうわけにもいかず普通にボディーソープで体を洗った。横を見ると空の浴槽。全くお湯の張られていない浴槽がある。手に入らないとか、ものがないときほど欲しいと思ってしまう心は誰しもあると思う。うん。お湯につかりたい。...
2019.05.20 13:14person 70 作・橋谷一滴目が冴えた喉が渇いた布団から出たら寒くなるほど冬じゃなくなったでも布団を出るのは億劫で最近聴いてなかった曲をかけて目を瞑る日焼け止めの匂いが迫って来る教科書が手汗で歪む魔法瓶の中の音昨日とか今日とかすっ飛ばしていつかあったような誰も覚えてない記憶を辿ってしまっている目が冴えた喉が渇いたもうすぐ夏が来るここには歪んだ教科書もあの魔法瓶ももうない。水を飲もうと目を開けるとそこは変わらず真っ暗だった。
2019.05.10 11:35person 69 作・堀愛子お姉ちゃんにおさがりでもらった赤っぽいワイン色のタイツ、履いて学校に行ったら、みんなに変って言われた。12歳。お金がほしい。お金があればもっと服が買えて、雑誌も買えて漫画も買える。携帯も買える、ハワイも行ける。お姉ちゃんはバイトができてお金がいっぱいあるからいいよね、新しい服が買えて。いらなくなったからあげる、そうやってもらったタイツ。お姉ちゃんが履いてるの見ると可愛くてずっと欲しかったから嬉しか...
2019.05.09 13:10person 68 作・渡邉大・見かけた人ヘッドフォンを首にかけた男の子・見かけた場所公園・時間帯12:20頃_____________________○名前中原 貫太○年齢15○趣味ネットサーフィン_____________________ヤバい。携帯の充電が切れそう。まあ、ずっとマップ見てたからそうなるだろうけど。13時には佐伯の家に着くって言ったんだけどな。まさか道に迷うとは。どうしよう。モバイルバッテリーも家に忘れたし...
2019.05.08 12:34person 67 作・草場あい子コンビニから帰ってくると、マンションの前に大きなトラックが止まっていた。エントランスの自動ドアが開いている。同じマンションに誰かが引っ越してきた。春です。僕がここに引っ越して来てからもう1年が経った。引っ越し会社のロゴがプリントされた制服を着た男の人に笑顔で挨拶をされた。咄嗟のことで会釈しかできなかった。エレベーターを降りてすぐ。7階。僕の家。僕の一人暮らしはここから始まった。誰もいない家に帰って...
2019.05.07 14:12person 66 作・木庭美生水野伴音。22歳。女。ジャム。ジャムつくろ。いちごとりんごあるし。食パンもあるから最強。3分クッキングの曲でもかけたくなるくらいには機嫌がいい。フライパンをヘラで叩いてみる。うるさい。ただうるさい。りんごを指で弾いてみる。うん。かたい音。特に意味のない行動をしばらく続けた。まあ普通に疲れた。まあっていうか疲れた。さっきまでのテンションでジャム作ればよかったのに。わたし。さっきまでのテンションならこ...
2019.05.06 13:48person 65 作・橋谷一滴袋いりますかと言われたのでとっさにあ、大丈夫ですーっていったら裸のドーナツを持つ羽目になった。目の前を自転車が通るドーナツが風に吹かれた。18時陽は暮れかかっている。ドーナツをかじるが昼ごはんを食べなかったからか久しぶりすぎるドーナツだからか二口目で油が身体中を回った気がした。もう飽きた。閉まりかけの購買に滑り込んだにも関わらずもう飽きてしまった。火曜日の授業でクラスが同じのあの人は川沿いのマンシ...